特定技能2号とは?歓迎するべき人材や企業が押さえておくべきポイントも解説!
「特定技能2号」は、特定技能1号よりも高度な技能を持つ外国人労働者を受け入れるための在留資格です。
特定技能2号の制度を有効活用するためにも、企業側も理解しておくべき重要なポイントをおさえておきましょう。
この記事では、特定技能2号で歓迎されるべき人材の特徴や、企業が押さえておくべき注意点について詳しく解説します。
特定技能2号とは?特定技能1号や技能実習との違いも解説
まずは、特定技能2号について以下の通り解説します。
- 特定技能2号とは
- 特定技能1号との違い
- 技能実習との違い
特定技能1号や技能実習との違いも押さえておきましょう。
特定技能2号とは
特定技能2号とは、特定の産業分野において高度な専門技能を持つ外国人労働者に与えられる在留資格です。特定技能1号に比べ、より専門的かつ複雑な業務を担当できることが求められます。現時点では、建設業や造船・舶用工業などの一部の分野でのみ導入されており、特定技能2号に該当する労働者は長期的に日本で働くことができます。さらに、2号では家族の帯同も許可され、在留期間の制限がなくなります。
特定技能1号との違い
特定技能1号と2号の大きな違いは、求められる技能水準と在留期間です。特定技能1号は、基礎的な技能を持つ労働者が対象で、最長5年間の在留が許可されますが、家族帯同は認められていません。一方、特定技能2号は、より高度な技能が求められ、在留期間に制限がなく、無期限で更新が可能です。さらに、特定技能2号では、家族帯同が認められているため、配偶者や子供と一緒に日本で生活することができます。1号から2号へ移行することも可能で、1号で一定の経験を積んだ後に2号へ進む労働者もいます。
技能実習との違い
技能実習制度との違いは、主に目的と権利にあります。技能実習制度は、外国人労働者に日本の技術や知識を学ばせ、母国に持ち帰って活用してもらうことを目的としています。このため、実習終了後は母国に帰国することが前提です。また、技能実習生は教育的な要素が強く、労働者としての待遇や権利が制限されることもあります。
特定技能2号における受け入れ分野
特定技能2号における受け入れ分野は建設、造船・船用工業分野の2種類のみでしたが、2023年6月9日の閣議決定により、以下9分野が追加されました。
- ビルクリーニング
- 工業製品製造業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食
それぞれの分野において、特定技能外国人が活躍している主な業務についても解説します。
建設
造船・船用工業
ビルクリーニング
特定技能2号におけるビルクリーニング分野では、商業施設やオフィスビルの清掃業務が中心です。
特定技能外国人は、床やガラスの清掃、エアコンの清掃・点検、ゴミの管理など、ビルの衛生環境を維持するための業務に従事します。
特定技能2号の外国人労働者は、これらの清掃業務において高度な技術を持ち、品質管理や効率的な作業を通じてビルの快適さを保つ役割を担います。
工業製品製造業
工業製品製造業分野では、製造ラインでの精密な作業や機械操作、品質管理などが主な業務となります。
特定技能外国人は、部品の組み立てや検査作業に加えて、機械のメンテナンスやトラブルシューティングなど、製造業の中核的な業務を担当します。
特定技能2号では、より複雑で専門性の高い業務が期待され、製造工程の効率化や品質向上に貢献します。
自動車整備
自動車整備分野では、車両のメンテナンスや修理作業が主な業務です。
特定技能外国人はエンジンやブレーキシステムの点検・修理、オイル交換、車両の検査など、車の安全性と性能を維持するための作業に従事します。
特定技能2号では、より高度な整備技術や診断技術が求められ、複雑な車両のトラブルにも対応できる技能が必要です。
航空
航空分野では、空港でのグランドハンドリングや航空機の整備業務が主な役割です。
特定技能外国人は、手荷物の取り扱いや飛行機の点検、機体の整備作業に従事します。
特定技能2号では、航空機のメンテナンスや整備に関する高度な技術が求められ、航空機の安全運行を支える重要な役割を果たします。
宿泊
宿泊業分野では、ホテルや旅館などでの接客業務や清掃、受付業務が主な業務です。
特定技能外国人は、国内外の観光客に対応し、フロント業務やレストランでの接客、客室の清掃などに従事します。
特定技能2号では、サービスの質を向上させるための高度な接客スキルや業務改善が期待されます。
農業
農業分野では、野菜や果物の栽培、収穫、出荷作業が主な業務となります。
特定技能外国人は、農作物の種まきや栽培管理、収穫、さらに出荷の準備を行います。
特定技能2号では、農作業の効率化や生産性向上に寄与する高度な農業技術が求められ、特に自動化された農業機械の操作や生産管理のスキルが重視されます。
漁業
漁業分野では、漁船での操業や水産物の養殖、加工業務が主な業務です。
特定技能外国人は、魚の捕獲や選別、加工品の製造、養殖施設の管理などに従事します。
特定技能2号では、漁業の効率化や水産物の品質向上に貢献する高度な技術が必要となり、特に設備のメンテナンスやトラブル解決に対応する能力が求められます。
飲食料品製造業
飲食料品製造業分野では、食品の製造や加工、包装などの業務が中心です。
特定技能外国人は、食品工場の生産ラインで働き、食材の加工や包装作業、品質管理に従事します。
特定技能2号では、食品の衛生管理や生産効率を高めるための技術が求められ、特に機械の操作や生産工程の改善が期待されます。
外食
外食業分野では、レストランやカフェでの調理、接客業務が主な業務です。
特定技能外国人は、キッチンでの調理補助や料理の提供、ホールでの接客業務に従事します。
特定技能2号では、より高度な調理技術やサービススキルが求められ、外食店の運営効率向上やお客様満足度の向上に貢献することが期待されます。
特定技能2号の取得に必要な条件
特定技能2号の取得には、特定技能1号の必須条件に加えて以下2つの条件を満たす必要があります。
- 特定技能2号評価試験または技能検定1級に合格する
- 監督・指導者として一定の実務経験を積む
それぞれの条件における概要を解説しますので、必ず目を通しておきましょう。
特定技能2号評価試験または技能検定1級に合格する
特定技能2号を取得するためには、まず特定分野における「特定技能2号評価試験」または「技能検定1級」に合格することが必要です。
上記の試験は、特定技能1号で求められる技能よりも高度な技術と専門知識を持っていることを証明するためのもので、業種ごとに異なる試験内容が設けられています。
技能検定1級は日本の職業技能における最高水準を示す資格であり、特定分野において熟練した技術を持つ労働者として認定されます。
特定技能2号では、技能検定1級に合格することが必須条件となり、より複雑で高度な業務を遂行できることが求められます。
監督・指導者として一定の実務経験を積む
特定技能2号の取得に必要なもう一つの条件は、監督者や指導者として一定の実務経験を積んでいることです。
特定技能2号を取得するには、単に技術的なスキルだけでなく、現場でのリーダーシップや後輩の指導を行うための経験も求められます。
単なる作業員ではなく、チームを指導・監督し、業務を効率よく進める役割を担うことを証明する必要があるといった認識です。
具体的には特定技能1号として数年間の業務経験を積んだ後に、監督者としての役割を果たすことが求められます。
経験を積むことで、特定技能2号の取得に必要なスキルとリーダーシップ能力が培われ、より大きな責任を持って業務に取り組むことができるようになります。
特定技能2号の取得方法
2024年10月時点において、特定技能2号の取得方法は以下2通りがあります。
- 特定技能1号から移行する
- その他の在留資格から移行する
それぞれのパターンにおける具体的な手順もチェックしておきましょう。
特定技能1号から移行する
特定技能1号から特定技能2号に移行する場合、まず特定技能1号での実務経験を一定期間積むことが重要です。
特定技能1号では、基礎的な技能を発揮し、指定された分野で5年間までの在留が許可されています。
この期間中に、評価試験や技能検定1級に合格し、必要な実務経験を積むことで、特定技能2号への移行が可能となります。
移行手続きでは、在留資格変更許可申請を地方出入国在留管理局へ提出します。
申請時には、特定技能2号に必要な高度な技能を証明する書類(評価試験の合格証や技能検定の結果など)や、監督者としての経験を示す証明書などが必要です。
移行が認められれば在留期間の制限がなくなるほか、家族の帯同も可能になります。
その他の在留資格から移行する
特定技能2号は、他の在留資格からも移行することが可能です。
技能実習2号や技術・人文知識・国際業務といった他の在留資格で日本に滞在していた外国人が特定の分野で必要な技能や実務経験を積んだ場合、特定技能2号に移行できます。
上記のケースの場合も、特定技能2号に必要な評価試験や技能検定1級に合格することが前提となります。
他の在留資格から移行する際も、在留資格変更許可申請を地方出入国在留管理局に提出し、必要な書類(試験合格証、実務経験証明書、雇用契約書など)を揃える必要があります。
特定技能2号に移行することで、在留期間の制限がなくなるため、長期的な就労を考える外国人にとっては有利な選択肢となります。
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