特定技能1号とは?注目の受け入れ分野や2号との違いも解説!
「特定技能1号」は、特定の産業分野において即戦力となる外国人労働者を受け入れるために設けられた在留資格です。
日本国内の人手不足に対応するため、多くの業界で注目されています。
この記事では、特定技能1号の概要や注目の受け入れ分野、2号との違いについて詳しく解説します。
特定技能1号とは?
特定技能1号とは、日本が深刻な人手不足に直面している産業分野で、即戦力として働く外国人労働者に与えられる在留資格です。
この制度は、飲食、介護、製造業など14の業種を対象に、技能試験と日本語能力試験に合格した外国人が対象となります。
特定技能1号の在留期間は最長5年で、家族の帯同は原則認められていません。
企業は、特定技能1号を活用することで、即戦力となる人材を確保し、労働力不足の解消に貢献できます。
特定技能1号における14の受け入れ分野
特定技能1号における受入分野は、2024年10月時点で以下14種類となっております。
- 介護
- ビルクリーニング
- 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野(2022年に統合)
- 建設業
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
それぞれの分野において、特定技能外国人のスキルを活かせる職務内容についても解説します。
介護
介護分野では、高齢者や障がい者の日常生活をサポートする仕事が中心です。特定技能外国人は、介護施設やデイサービスなどで、食事・入浴・排泄などの基本的な介護業務を行います。日本語能力や介護技術が求められますが、資格を取得しているため即戦力として活躍できます。
ビルクリーニング
ビルクリーニング分野では、商業施設やオフィスビルの清掃業務を担当します。特定技能外国人は、ビル内外のクリーニング業務を正確に行い、衛生管理を徹底することで、施設の清潔さと安全性を維持します。床やガラス、エアコンの清掃など、専門的な技術が求められます。
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野(2022年に統合)
2022年以降に統合された素形材、産業機械、電気電子情報関連製造業分野では、製造ラインでの部品組み立てや機械操作、品質管理などを行います。特定技能外国人は、製造業の中核を担い、特に精密作業や生産性向上のための業務に貢献します。これらの分野では、高度な技能と作業の正確さが重要です。
建設業
建設業における土木・建築の作業現場で働く特定技能外国人は、鉄筋組立、左官作業、建築設備の設置などの業務を担当し、現場の安全性と品質を守る役割を果たします。技術力や体力が求められる職務であり、建設現場における即戦力となります。
造船・舶用工業
造船・舶用工業では、船舶の建造や修理、エンジンの組み立て作業などに従事します。特定技能外国人は、特に溶接や機械設備の操作などの専門的技術を活かし、船舶の品質管理や安全性向上に貢献します。
自動車整備
自動車整備分野では、車両のメンテナンスや修理作業を行います。特定技能外国人は、エンジンやブレーキシステムの点検・修理、オイル交換などの整備業務を担当し、自動車の安全性と性能を保つために重要な役割を果たします。
航空
航空分野では、空港でのグランドハンドリングや航空機の整備作業を担当します。特定技能外国人は、手荷物の取り扱いや航空機の点検・整備など、空港の運営に欠かせない業務に従事し、国際空港での業務にも適応します。
宿泊
宿泊業では、ホテルや旅館などでの接客業務や清掃業務、受付・フロント業務を担当します。特定技能外国人は、国内外の観光客に対応し、外国語スキルや接客の経験を活かして宿泊施設のサービス向上に貢献します。
農業
農業分野では、野菜や果物、穀物の栽培、収穫、出荷準備などの業務に従事します。特定技能外国人は、季節に応じた農作業や機械の操作を行い、農産物の生産性向上や収穫期の労働力確保に貢献します。
漁業
漁業分野では、漁船での操業や水産物の養殖、加工業務を担当します。特定技能外国人は、漁船の運航補助、魚の選別、加工品の製造などに従事し、日本の水産業の重要な労働力として活躍します。
飲食料品製造業
飲食料品製造業では、食品の製造・加工・包装などの業務を行います。特定技能外国人は、食品工場での生産ラインで働き、食材の加工や商品パッケージの作業を担当し、安全で高品質な食品の生産に貢献します。
外食業
外食業では、レストランやカフェなどでの調理や接客を担当します。特定技能外国人は、調理補助や料理の提供、キッチン業務、ホール業務などを行い、飲食店の運営において欠かせない存在となります。
特定技能1号と2号の主な違い
特定技能1号と2号の違いについて、以下のとおり解説します。
- 求められる技能水準の違い
- 実務経験の有無の違い
- 在留期間・更新時期の違い
- 家族帯同の可否の違い
特定技能1号と2号それぞれで求められる条件の違いを知っておきましょう。
求められる技能水準の違い
特定技能1号は、比較的基本的な技能を持つ労働者が対象で、即戦力として働けることが求められます。対象分野に関する技能試験や日本語能力試験に合格することで資格を得ることができます。一方、特定技能2号は、より高度な技能が求められ、専門的で複雑な業務を遂行できる労働者が対象です。2号では、特定分野においてさらに専門的な技術や知識が必要となります。
実務経験の有無の違い
特定技能1号では、基本的に実務経験がなくても取得可能です。技能試験と日本語試験に合格することで、特定分野における基礎的な労働者として認定されます。しかし、特定技能2号では、特定分野での実務経験や高度な技術を持っていることが求められ、特定技能1号よりも専門性が重視されます。1号での経験を経て、2号へ移行することも可能です。
在留期間・更新時期の違い
特定技能1号の在留期間は最長5年で、1回あたり1年、6ヶ月、または4ヶ月ごとの更新が必要です。この5年間の上限を超えると、1号での在留はできません。特定技能2号では、在留期間に制限がなく、無期限で更新が可能です。これにより、2号の労働者は長期的に日本で働き続けることができ、安定的な雇用が見込まれます。
家族帯同の可否の違い
特定技能1号では、原則として家族の帯同は認められていません。労働力として一時的に働くことを前提としているため、家族を日本に呼び寄せることが難しいです。一方、特定技能2号では、家族の帯同が認められており、配偶者や子供と一緒に生活することが可能です。長期的に日本での生活を考える場合、2号は労働者とその家族にとって有利な制度となります。
特定技能1号を持つ外国人を受け入れるための流れ
特定技能1号を持つ外国人を受け入れるまでの流れは、以下の通りです。
- 受け入れ要件を確認する
- 人材募集・面接を行う
- 特定技能評価試験と日本語能力試験を受検させる
- 選定した外国人と雇用契約を締結する
- 入社前準備(事前ガイダンス、個人健康診断の実施など)を行う
- 特定技能1号外国人支援計画を作成して入管への申請時に提出する
- 在留資格変更許可申請を地方出入国在留管理局へ提出する
- 特定技能1号への在留資格変更が完了する
- 受け入れを開始する
それぞれのステップにおける注意点も解説しますので、必ず目を通しておきましょう。
受け入れ要件を確認する
最初に、特定技能1号を持つ外国人労働者を受け入れるための要件を確認します。受け入れ業種が特定技能1号の対象であることを確認し、外国人労働者が特定分野の技能試験と日本語能力試験に合格しているかも確認が必要です。ここでの注意点は、対象分野や試験要件が業種ごとに異なるため、業界の最新情報をしっかりと把握しておくことです。
人材募集・面接を行う
次に、外国人労働者を募集し、面接を行います。募集方法には、人材紹介会社を利用する場合や、自社で求人を出す場合があります。面接の際には、応募者の特定技能資格の有無や日本語能力、適性をしっかりと確認しましょう。注意点として、面接の際に適切なコミュニケーションを図るため、可能であれば通訳を用意することをおすすめします。
特定技能評価試験と日本語能力試験を受検させる
特定技能資格を持っていない外国人を受け入れる場合は、特定技能評価試験と日本語能力試験を受検させる必要があります。受検には一定の準備期間が必要となるため、事前に試験のスケジュールを確認し、適切なタイミングで試験を受けられるように計画しましょう。試験合格が雇用の前提条件となるため、注意深く進める必要があります。
選定した外国人と雇用契約を締結する
試験に合格した外国人労働者を選定し、雇用契約を締結します。この契約は、労働条件、給与、就業時間、福利厚生などを明確に記載したものでなければなりません。ここでの注意点は、日本の労働法に基づいた適切な契約書を作成し、労働者にしっかりと内容を理解してもらうことです。
入社前準備(事前ガイダンス、個人健康診断の実施など)を行う
雇用契約を締結した後、入社前の準備として事前ガイダンスや個人健康診断を実施します。事前ガイダンスでは、業務内容や会社のルール、生活支援に関する情報を提供し、スムーズな就業開始をサポートします。健康診断は、入社前に必須となるため、早めに手配することが重要です。
特定技能1号外国人支援計画を作成して入管への申請時に提出する
次に、特定技能1号外国人の受け入れに際しては、企業側が支援計画を作成し、外国人労働者の生活や労働環境をサポートするための具体的な計画を立てます。支援計画には、生活のサポートや相談対応などが含まれます。作成した支援計画は、地方出入国在留管理局に提出する必要がありますので、記載内容を正確に確認しましょう。
在留資格変更許可申請を地方出入国在留管理局へ提出する
次に、在留資格変更許可申請を地方出入国在留管理局へ提出します。特定技能1号への資格変更には、提出書類が多岐にわたるため、事前に必要な書類を揃えておくことが重要です。提出書類には、雇用契約書や支援計画などが含まれます。申請時には、ミスや書類不足を防ぐため、慎重に確認して提出することが必要です。
特定技能1号への在留資格変更が完了する
申請が無事に受理され、審査が完了すると、特定技能1号への在留資格変更が許可されます。資格変更が完了したら、在留カードが交付されるため、必ず確認して受け取ります。このプロセスが完了するまでの時間を見積もり、計画的に進めることが重要です。
受け入れを開始する
最後に、特定技能1号外国人の受け入れを開始します。受け入れ後は、企業側が引き続き生活面や業務上の支援を行い、外国人労働者が安心して働ける環境を整えることが求められます。労働者が定着するためには、適切なサポート体制を維持し、定期的にコミュニケーションを図ることが重要です。
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